作家の陳舜臣・作の詩「鎮魂・希望・復活」

阪神・淡路大震災から30年。大震災の年の
第13回目の1万人の第九の開催は危ぶまれた。
指揮者の山本直純さんは鎮魂と共に復活への
姿勢を示し「第九」歓びの歌へ繋げて行こうと
というコンセプトが決まり再出発に道が開いた
病で伏せる中、作家の陳舜臣さんから詩が届く
鎮魂詩~劫火を超えて~陳舜臣
とつぜん 大地が揺らぎ
縦にそした横に 円をえがくように
地鳴りは おそろしげにひびき
地震と気づくいとまもなく
あるものは 天の柱にとらえられ
あるものは 地の渦に投げこまれ
四方に降り注ぐ 破滅の矢を
誰が逃がられられることができようか
あるものは いとしい者のうえに
おおいかぶさり 呼吸をともにし
熱い血潮に明日をもとめ
またあるものは その瞬間を氷にとざし
天をこがす非情の炎を避け
人のなさけを待つ
人のなさけだけが 氷をとかし
もとのすがたをあらわすだろう
それをひたすら待とう
まばたきするあいだに
かわってしまった景色ではないか
よみがえりの日まで待とう
つづく

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